
ロンドンから東京へ ~ 一台のモーターサイクルが辿る、海のシルクロード ~
2026.03.09
KNOW THY BEAST ceo 鈴木 慎次郎
英国で生まれた一台のクラシック・モーターサイクル。 そのバイクが、遠く離れた極東の地、東京へ届くまでには、想像を超える長い海の旅があります。
出発は、ロンドンのコンテナ港 London Gateway。 ここでコンテナ船に積み込まれたバイクの、世界横断の航海が始まります。
コンテナ船はテムズ河口から北海へ出て、ヨーロッパ大陸の海岸線を横目にしながら南下し、やがて地中海へと入ります。 そして最初の大きな関門――世界の物流を左右する「チョークポイント」を通過します。
それが スエズ運河 です。
この運河は、ヨーロッパとアジアを結ぶ人類最大級の近道。 もしこの運河がなければ、船はアフリカ大陸の最南端「喜望峰」を回らなければならず、航海はさらに数千キロも長くなります。
巨大なコンテナ船の列が、砂漠の真ん中を静かに進んでいく。 両岸は一面の砂漠。 人類が掘り抜いた細長い水路を、世界中の貨物を積んだ船がゆっくりと進むその光景は、まさに現代の海のシルクロードです。
スエズ運河を抜けると、船は紅海からアラビア海へ。 そして広大な インド洋 を横断します。
ここから先は、ただただ果てしない海。 水平線しか見えない日々が続き、何千キロもの海を越えて船は東へ進みます。
やがて船は、世界でもっとも重要な海峡のひとつに近づきます。 それが第二のチョークポイント、マラッカ海峡 です。
この海峡は、インド洋と太平洋を結ぶ世界最大級の海上交通路。 世界の貿易の多くがこの狭い海域を通過し、石油・天然ガス・工業製品など、地球規模の物流がここを流れています。
政治、経済、そして国際情勢―― 世界のパワーバランスの中心にある海峡とも言われています。
そんな場所を、英国から旅立った一台のモーターサイクルもまた世界経済の歯車の一部として通過していきます。
マラッカ海峡を抜けると、船は南シナ海を北上し、東アジアへ。 シンガポール、プサンといった巨大な物流ハブ港を経由しながら、ついに航海の終盤へと入ります。
そして約60日にも及ぶ航海の末、 コンテナ船は静かに浦賀水道から東京湾へ入港します。
英国で生まれたクラシック・モーターサイクルが、 地中海、スエズ運河、インド洋、マラッカ海峡―― 世界の大動脈とも言える海の道を越え、 何万キロもの旅を経て、ついに極東の東京へ辿り着く。
一台のバイクの背後には、 実はこれほど壮大な物語があります。
私たちが英国からクラシックバイクを輸入するということは、 単なる「輸送」ではありません。
それは、海を越え、時代を越え、 地政学的な要衝であるチョークポイントを横断し、 遠い英国で生まれた一台が、 長い航海を経て、ここ東京に到達するのです。
スエズ運河(欧州とアジアをつなぐ世界のショートカット)
もしここが封鎖されると、船はアフリカの喜望峰回りとなり、世界物流に大きな影響が出る。日露戦争のバルチック艦隊の航路にまでタイムスリップすることになるのである。
地中海と紅海をつなぐ 人類最大級の人工運河 ヨーロッパ → アジアの航路を 約7000km短縮 世界貿易の 約25% が通過 原油やLNGなどエネルギー輸送の要衝
マラッカ海峡(世界最大の海上交通のボトルネック)
インド洋と太平洋をつなぐ 世界最大級の物流ルート幅が狭い場所では 約2.7km しかなく、まさに世界物流の「喉元」と言われている。
世界の海上貿易の 約35% が通過 日本・中国・韓国のエネルギー輸送の生命線 シンガポールの巨大港が入口にある







